Copyright
九州大学
九州大学、総合科学研究機構(CROSS)、茨城大学の研究グループは2013年2月6日、常温常圧で水素から電子を取り出す、新しいニッケル-鉄触媒を開発したと発表した。安価な鉄を使用しており、高価な白金を使用しない燃料電池の開発が期待できる。
従来、燃料電池の触媒には白金(5000円/g)やルテニウム(240円/g)など高価な貴金属を使用していたが、今回、自然界に存在する水素活性化酵素「ニッケル-鉄ヒドロナーゼ」をモデルとして、安価な鉄(0.06円/g)を使用した人工触媒を開発した。
研究成果により安価な燃料電池の開発が可能となり、水素エネルギー利用技術の発展が期待できるとしている。 関連のJFS記事:
ダイハツ、CO2も出さず貴金属も使わない燃料電池の基礎技術を開発
次世代燃料として期待される水素やアンモニアの利用拡大に向け、政府は関連産業を支援する新法を制定する方針を固めた。世界的な脱炭素化の流れを受け、燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニアは需要拡大が見込まれる。来年度の国会への法案の提出を目指し、生産から供給までの体制づくりを後押しする。【写真】海外レースに初出場したトヨタの水素エンジン車
新法は、水素・アンモニアの生産や供給を手がける事業者に国が資金支援を行うほか、普及に向けたインフラ(社会基盤)整備を進める内容を想定。環境負荷の高い方法で生産された水素やアンモニアを扱う事業者は支援の対象外とする規制も盛り込む方針だ。
政府関係者によると、事業者への支援と規制を一体化した包括的な法制度の整備は世界的にも例がないという。
経済産業省は12月、水素やアンモニアの利用拡大へ2030年頃までに供給体制を構築するための政策案をまとめた。国が供給事業者に対し、化石燃料との価格差を原則15年間補助する制度の導入や、貯蔵タンクやパイプラインなどのインフラを集めた拠点を今後10年で8か所程度整備することが柱となっている。
政府は近く開催する「GX実行会議」(議長・岸田首相)で今後のエネルギー政策案を決定する方針。水素・アンモニアの供給網構築には今後10年で、官民合わせて7兆円以上の投資が必要と見込んでおり、法制度を整えて政策実行を裏付ける。企業の投資も促し、50年に温室効果ガス排出を実質ゼロとする目標の達成につなげたい考えだ。